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骨格とパフォーマンス


あなたの筋肉は使える筋肉?使えない筋肉?

「スポーツアスリートの筋肉は使える筋肉で、ボディビルダーの筋肉は使えない筋肉」
こういったニュアンスを含む言葉を耳にしたことはありませんか?
スポーツに携わる人ほどこういった認識をしているかもしれません。
闇雲に筋肉を大きくしてもそれは役に立たない筋肉なのでしょうか?
ほどほどに筋肉がついている体こそ健康的かつ実用的なのでしょうか?
今回はこうした俗説を論理的に紐解いていきます。

骨格とパフォーマンス

大学のスポーツサイエンス博士でありながら、自身もトレーニングに励み、機能的な体作りの指導も行っているBret Contreras氏は、自身のSNSで「日々の練習やトレーニングの成果がどの程度出るかは遺伝子による影響が最も大きな割合を占める」と発言しました。
この発言は反感も買うでしょうが、紛れもない事実です。
遺伝的に恵まれており、素質が備わっている人がどんな競技においても上位にいます。
彼の投稿の趣旨は「努力だけで結果や輝かしい栄光は手に入らない。
そこに執着し、時間を費やし、思い悩むことで他の可能性やチャンスを逃さないでほしい。」というものでした。
これだけでも十分いい話ですが、私は、競技やダイエットに取り組む人の多くが、こうした遺伝的に持って生まれた骨格を理解せずに努力をしていることを問題として感じています。

有利な骨格と不利な骨格

今回は人体の骨の中でも重要な骨盤にフォーカスして、スポーツを例に挙げながら理想的な骨格について解説していきます。
陸上競技の100m走で最速を誇るのはウサイン・ボルト選手です。
表彰台に立つのは白人や黒人の選手ばかり。
これは彼らが生まれながらにして遺伝的に速く走ることができるようにデザインされているからです。
彼らは古来より狩猟民族として生きるために「追いかけて狩る」,「走って逃げる」ということを繰り返してきました。
その結果骨盤は前に傾き、腸腰筋という脚の付け根の筋肉は太く発達しました。
前に向かって速く走るためには、この骨盤の前傾と腸腰筋の発達が必須条件なのです。
一方で日本人は弥生時代から稲作を始め、「食べ物を自分達で生産し備蓄する」,「効率よく物を運搬する」ということを繰り返し、さほど狩猟に力を入れてきませんでした。
その結果、骨盤は白人や黒人に比べると後ろに傾いており、腸腰筋もそこまで発達していません。
このように、速く走ることが重要となる競技において、日本人は遺伝的な側面から圧倒的に不利だということが分かります。
では日本人が有利となるスポーツはあるのでしょうか。
実は柔道やボクシングがそれにあたります。
先程骨盤の前傾が速く走るためには重要だという話をしましたが、逆にその場に留まるもしくは後ろに下がるためには骨盤が後傾している方が有利です。
柔道は、バランスを崩されて投げられるもしくは固められると一本となりますが、その場に留まることを得意とする骨格の日本人は、生まれながらにして負けにくい身体を持っていると言ってもいいでしょう。
ボクシングでも日本人は多く活躍しています。
特に亀田兄弟が分かりやすいのですが、ものすごく骨盤が後ろに傾いています。
骨盤を後傾させて、尚且つ上半身を通常よりも後方にシフトさせることで相手との距離を稼ぐことができ、いざというとき後ろに下がりやすくもなります。
つまり、致命的な一発をもらいづらくなるのです。

競技パフォーマンスを上げるには

遺伝的に有利不利がある程度決まってしまうスポーツやボディメイクですが、そんな中で結果を得るためには、自身の骨格について理解しておく必要があります。
速く走りたいからといって黒人選手の練習をコピーしてそのままやっても期待通りの効果は得られません。
ヒップアップしたいからといってひたすらお尻の筋肉を鍛えればいいわけではありません。
自分の身体のパーツや動き方の癖に結果がついてこない原因があるのです。
そういったエラーを見つけ、機能的なトレーニングを繰り返し行って改善していくことは、あなたの競技パフォーマンスやダイエットに間違いなく良い影響をもたらすでしょう。
是非参考にしながら運動に取り組んでみてください。